Book review · 2019年5月13日

「これ以上やさしく書けないプロジェクトマネジメントのトリセツ」を読んだ

はじめに

エンジニアの傍らプロジェクトマネジメントのお仕事をさせて頂き始めて1年が経った。

右も左も分からずもがきながら進んで来たが、ちゃんとしたプロジェクトマネジメントの本を読んだ事がなかったので、まずは一冊。最もやさしそうな本から読み始めようと思い、「これ以上やさしく書けないプロジェクトマネジメントのトリセツ」を手にとった。

本記事の読者対象

  • プロジェクトマネジメントを始めたが進め方が不安な人
  • 「図解これ以上やさしく書けないプロジェクトマネジメントのトリセツ」に興味を持っている人

どのような構成か

プロジェクトをまわしていくストーリーが展開されている。

プロジェクトマネージャは進め方に悩みながら進めていくが、そこでプロジェクトマネジメントの「先生」が現れ、課題を解決していく。

このような構成なので、読者はプロジェクトマネージャの立場で読む事ができ、問題の解決策を「先生」から学ぶ事ができる。

ストーリーがベースのため非常に飲み込みやすい構成になっている。また、登場人物はわずか7人のため、読んでいて混乱することもなく、プロジェクトマネジメントの理解に集中できるよう工夫もされている。

この本(これ以上やさしく書けないプロジェクトマネジメントのトリセツ)のスコープ

一口に「プロジェクトマネジメント」と言っても、プロジェクトマネージャの仕事はとにかく多いが、計画立案から、終結までの進め方がこの本のスコープに当たる。

主に企画・計画立案・社内決済・基本設計・システム開発など、プロジェクトの成果が生まれるまでの一連の流れを開設されてある。

以下、私がこの本を読んで行った中のメモになる。

プロジェクトとは

そもそもプロジェクトとは

特定目的を達成するための臨時組織による活動。
目的がなければプロジェクトは不要。
目的が曖昧であれば必要なプロジェクト活動ができない。

プロジェクト開始時に最低限必要なもの

  • 企画書、計画書
  • プロジェクト体制図、スケジュール表

プロジェクト完了後の姿を明確にする

プロジェクトが終了した時点で、具体的に何がどうなっているのか。 
具体的な効果。明確なゴールがないと、ミーティングの話しがまとまらなくなる。

プロジェクトマネジメントとは

プロジェクトを先読みする技術。いかに先読みして、手戻りが発生しない最善の手を打っていくか。

先読みの技術の1ツールとして

  • WBS(Work Breakdown Structure)
  • PERT(Program Evaluation and Review Technique)
  • リスクマネジメント

が存在している。中でもWBSは最も重要。

WBS

プロジェクト活動に必要な全作業を、管理可能な単位に階層的に分割。作業のもれや、ダブりを最小限に抑える事ができる。

作業の一つ一つを分解し、誰でも理解できる大き際に細分化する。
細分化する事で具体的に何をすればいいかが見えてくる。

PERT

所要時間と前後関係を明確にする役割がある。
最も重要なことは、最短経路(クリティカルパス)を導き出すことにある。

リスクマネジメント

損失を発生するかもしれない不確実な度合い。まさかの事態が起きないよう、事前に対策を講じる必要がある。

  • 損失発生を未然に防止するためにリスクを低減させる
  • 損失が発生してしまったら、被害を最小に食い止める
     先手を打つ、事前に対策を考えておくなど。

    リスクの洗い出しはブレインストーミングが有効。
    洗い出したら、リクスを評価、優先順位を5段階で決める。

ステアリングコミティとは

プロジェクトの講演会のような存在。

プロジェクトオーナーと、リーダの中間。必須ではない。

企業におけるプロジェクト

  • 経営改革プロジェクト
     経営戦略の策定
     経営理念の確信
     組織革命(グループ経営、組織改革など)
     事業の再構築(リストラ、M&Aなど)
     運営構造の確信

  • 商品&事業開発プロジェクト
     新規商品開発や、研究開発など。
     多角化などの新規事業開発も含まれる。

  • 情報システム開発プロジェクト
     情報システム再構築

    上記3つをマネジメント系プロジェクトと呼んでいる。

  • プラント建設プロジェクト
     工場の建築や、都市開発などがこれにあたる。

プロジェクトマネジメントの必要性

大半のプロジェクトは(プラント建設プロジェクト以外は)経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の投資対効果を最大化する事。

プロジェクトと既存業務との違い

既存組織の特徴

現状の枠組みを維持、組織の秩序を守る事が最大の勝ちにつながる

既存組織の目的

毎年の業務目標の達成。時間軸で業務目標決める

プロジェクトの留意点

プロジェクトに属する人のバックグラウンドが違うので、以下を留意する必要がある。

  • 前提条件の確認
     プロジェクトにおける決め事

  • 制約条件の確認
     社外要員(法規制、世論からの制約)
     社内要員(会社の経営資源の大きさ、経営者のこだわりなど)

  • プロジェクトの作業計画、納期とスケジュールの明確化
     WBSやガントチャート

  • 意思決定としてのオーナーの明確化
     プロジェクトリーダーはフットワークの軽い人が適任
     プロジェクトリーダーは、客観性の維持のため、自ら意思決定する事ができない。
     オーナーは意思決定者

  • ステークホルダーの明確化、配慮
     ステーキホルダーがプロジェクトを妨害しないために、権威ある人がオーナーになる必要がある。

まとめ

まとめると以下の通り

ポイント既存組織(チーム)プロジェクト
前提現状の組織
組織の統制、秩序を重視
新しいことを始める
目的業務目標の達成など特定の目的、目標を達成させる
組織継続的組織
人事異動を伴う
臨時組織
人事異動は不要
構成員同じ分野のスキルを持つ人数より人材要件を重視
多様な分野のプロフェッショナル
業務形態繰り返しのある日常業務繰り返しがない

やるべき事が明確なものなどは、既存組織で進める方が良い

何でもプロジェクトでやろうとしない。既存組織での解決するというやり方もある。

プロジェクトの体制

以下の2つが大きい。特徴は以下の通り。

純プロジェクト組織

特徴

既存組織から人員を抽出、専任体制で進める形式

メリット

専念できるので、プロジェクトの成功率が向上する。
既存組織のルールでマネジメントを行っても、そこそこうまくいく。

デメリット

占有するため、プロジェクトの人件費が固定費になる

マトリックス組織

特徴

既存組織に属しながら、プロジェクトを兼務する方式。

メリット

人を増やさないため、即日発足可能

デメリット

兼任体制なので、専念できない

プロジェクトが失敗するパターン

  • 空中分解(途中で終息・解散)
     周囲のステークホルダ(利害関係者)から協力を得られないなど

  • その場しのぎで「プロジェクトで解決する」と宣言

  • プロジェクトオーナー不在
     プロジェクトリーダーは実行の責任者だが、
     プロジェクトオーナーは意思決定者にあたる。そのため、オーナー不在では決められない。
     オーナー不在では、利害関係から発生する衝突に対応できない。

  • 見切り発車
     走りながら考えるようになると、ことごとく裏目になる可能性が高い。
     目的がころころ変更され、やり直しが多発することになる。

  • 丸投げ(営業が一括受注・要件定義不明)
     うまく行かなかった際、手の打ちようがなくなる。
     丸投げするのであれば、丸投げ先に計画を立ててもらい、プロセスの見える化が必要。

  • ダボハセ(プロジェクトでやる事が多くなり、首が回らなくなる)
     あれもやろう、これもやろうでやる事が増えてしまうプロジェクト。
     本当に必要なテーマに絞り込んで取り込むのが重要になる。
     戦略論で「選択と集中」が重要

プロジェクトマネジメントの5原則

  1. プロジェクトフェーズとライフサイクルの原則
    プロジェクトの不確実性を回避するために、プロジェクトは適切なフェーズに分けて実施。そのため、大規模プロジェクトはフェーズに分かれる。

    例えば、
    * 企画フェーズ(問題解決のためのテーマの設定)
    * 基本設計フェーズ(全体構造を明らかにして、全体と部分の関係を明確にする)
    * 詳細設計フェーズ(詳細な仕様設計・コスト積算まで行う)
    * 調達開発フェーズ(具現化させる)
    * 導入・運用フェーズ(プロジェクトの効果を得る)

    プロジェクトが長期にわたる場合、中だるみしがちになる。メリハリをつけるためというのも理由の一つ。

    プロジェクトの開始と終結(ライフサイクル)を明確にする必要がある。ライフサイクルは、立ち上げ、計画、実行、コントロール、終結のプロセスから成り立つ。

  2. ステークホルダー明確化の原則
    プロジェクトの影響を受ける全ての人がステークホルダーとなる。
    ステークホルダーに対してプロジェクトの位置付けを明らかにし、協力者になってもらう必要がある。

  3. 組織影響の原則
    どのように影響を与えるのか明確にする。
    ここを明確にしないと既存組織から反感を買う恐れがある。

  4. プロジェクト運営知識・能力確保の原則
    プロジェクト運営に必要な知識能力を備えている必要がある。
    プロジェクトマネジメントの知識を有し、プロジェクト計画や実行に活かされる必要がある。

  5. 社会経済的影響の原則
    一つのプロジェクトが時には社会経済にも影響を与える事を肝に銘じる

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の役割

大きく3つの役割を持たせる

  1. 全社レベルでのプロジェクトのリソースマネジメント
    全社のリソース配分を最適化し、パフォーマンスの最大化を目指す

  2. プロジェクトのストップ&ゴーの決断
    重要度が低いものはストップさせ、重要度の高いプロジェクトに再配分する

  3. プロジェクトマネジメントのノウハウの定着
    社内でプロジェクトマネジメントの研修を実施し、共通のノウハウとして全社に定着させる。

PMBOK

プロジェクトマネジメントの知識体系。世界で通用するプロジェクトマネジメントのデファクトスタンダード。

以下の9つで構成される

  1. 統合マネジメント
  2. スコープマネジメント
  3. タイムマネジメント
  4. コストマネジメント
  5. 品質マネジメント
  6. 人的資源マネジメント
  7. コミュニケーションマネジメント
  8. リスクマネジメント
  9. 調達マネジメント

まとめ

私がメモを取ったのは以上の通り。プロジェクトマネジメント初心者にとっては非常にわかりやすくイメージもしやすいように纏まっている。

辞書的に使いたいような素晴らしい本だった。